福岡地方裁判所 昭和52年(わ)886号 判決
本籍
福岡県中間市大字上底井野一、五四七番地
住居
北九州市小倉北区中井五丁目七番一一号
会社役員
花田次雄
大正四年七月二八日生
右の者に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官足立敏彦出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一〇月に処する。
但し本裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、北九州市八幡東区中央二丁目二四番三号(昭和五二年七月以前は、同区枝光本町七番三号)に本店を置き、製缶機械の製作、修理等の事業を営む八幡工事株式会社(昭和五三年二月八日新日本工業株式会社に合併して解散)の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 同会社の昭和四八年一〇月一日から同四九年九月三〇日までの事業年度において、同会社の所得金額は一億四、一一六万四、六一六円で、これに対する法人税額は五、五一四万四〇〇円であるのに、公表経理上架空の外注費等を計上するなどの不正な行為により所得の一部を秘匿したうえ、同四九年一一月三〇日、同区西本町四丁目一四番一六号所在の八幡税務署において、同税務署長に対し、同会社の所得金額は一、八一八万一、四九一円で、これに対する法人税額は六〇一万六、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における法人税四、九一二万四、二〇〇円を免れ、
第二 同会社の昭和四九年一〇月一日から同五〇年九月三〇日までの事業年度において、同会社の所得金額は三、四五〇万七、四七五円で、これに対する法人税額は一、二〇一万二、一〇〇円であるのに、前同様の不正な行為により所得の一部を秘匿したうえ、同五〇年一二月一日、前記八幡税務署において、同税務署長に対し、同会社の所得金額は一、八五八万四、三〇二円で、これに対する法人税額は五六八万四、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における法人税六三二万七、五〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一、第一回公判調書中の被告人の供述部分
一、被告人作成の上申書並びに証明書、及び被告人に対する大蔵事務官の質問てん末書(五通)並びに被告人の検察官に対する供述調書
一、登記簿謄本二通
一、花田次雄・時下久夫作成の上申書(三通。検証233334)
一、時下久夫作成の上申書(二通。検証2445)並びに確認書(検証36)及び同人に対する大蔵事務官の質問てん末書(七通。検証37383940414546)並びに同人の検察官に対する供述調書
一、村山正臣作成の上申書(検証49)並びに同人に対する大蔵事務官の質問てん末書(三通。検証434450)
一、伊東栄造作成の上申書(検証47)並びに同人に対する大蔵事務官の質問てん末書(検証48)
一、加藤梅一作成の上申書(検証51)並びに同人に対する大蔵事務官の質問てん末書(検証52)
一、万力斉夫作成の上申書
一、押収してある雑書類一綴(昭和五二年押三九一号の8)
判示第一の事実につき
一、花田次雄・時下久夫作成の上申書(八通。検証1617181920252631)
一、押収してある確定申告書二綴(昭和五二年押三九一号の2、3)、決算書二綴(同押号の5、6)
判示第二の事実につき
一、花田次雄・時下久夫作成の上申書(五通。検証2122272832)
一、中野幸雄・中野加津子作成の「借入金について」と題する書面
一、検察官作成の昭和五二年一〇月一三日付捜査報告書(検証35)
一、実松又七作成の上申書並びに同人に対する大蔵事務官の質問てん末書
一、吉村宏昭作成の上申書並びに同人に対する大蔵事務官の質問てん末書
一、押収してある確定申告書一綴(昭和五二年押三九一号の4)、決算書一綴(同押号の7)
(法令の適用)
法人税法一五九条一項(懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、二五条一項。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 寺坂博)